エリーに告ぐ

2007年2月18日 恋愛
昨日日記を書かなかったのは、
中学時代の女友達と偶然横浜で会って、
そのまま二人暇だからちょっとメシでも食いに行くか、
という話しになりそのまま朝までメイクラブ的なことをしていたからに他なりません。


そのコのニックネームをエリーとします。
中学時代もずば抜けてかわいいこでしたが、
一ヶ月ほど前の成人式で久しぶりに会い、ますますその美しさに磨きがかかっておりました。
私などその麗しいお顔を見て一秒で勃起したほどです。



横浜の山下公園に彼女はいました。
散歩がてら、私はよく山下公園に行くのです。


「あれ、エリーやん!うわ!どうしたん、こんなところで!」

「え、盛男君?うわー。成人式以来やん!すごい偶然!」

「そやなー。で、どうしてこんなとこで一人座ってんの?
あ、デートか、そうかそうか。デートか。エリーのことだかんね、そりゃデートの一つや二つそりゃするわな。」

「ち、ちち違うよ!ただ…。ね…。」

暮れなずむ橙の太陽が、
俯いたエリーの横顔を哲学的に染めた。
海には煌めく光の粒が踊っている。
私は、完璧という概念をそれまで信じていなかった。
しかしこの時、その考えは完全なる過ちだったと気付かされた。
目の前にいるエリーとその光景との融合は、
完璧なる美の存在がこの世に実存する事を雄弁に語っていた。

「ただ、どうしたの?」

「んーん。なんでもない。盛男君こそ、どうしてここに?」

「ただの散歩さ。」




気付けば私たちは共に食事をし、頬がアルコールに染められたころ、その店を出ていた。




「時間、大丈夫?」
携帯電話の液晶時計が午後10時を告げていた。
「ん…。今日は…大丈夫。」
エリーは恥ずかしそうに、そういった。




眩いネオンが輝く街と彼女の存在は、
僕の理性を失わせるには充分すぎるほど充分だった。







………










「なあ、どうして山下公園にいたんだ?」

行為が終わった後、
私はホテルのベランダで煙草を吸いながらそう訊いた。
夜空にはあいかわらず星が見えない。
ほの暗い室内と、
完全な闇と成りきれていない冬の夜空の色は、妙に似ていた。

シーツにくるまった彼女は、上目遣いで僕を眺める。

「聴きたいの…?」

「聴きたくなかったら、僕は訊かない。」

僕は静かにそう言った。

その言葉が消えて、
三本目の煙草に火がついたころ、エリーはポツリと言った。


「あそこね、別れた場所なの…。前の彼氏と。」


「……。」


「一ヶ月前、突然に呼び出されて、突然新しい彼女が出来た、って言われて、突然にふられたの…。」

「……。」

「で、私それから毎日あそこに行ってるの。
雨の日も、寒い日も。」


「……。」


「朝から、晩まで、ズッとそこにいるの。」


「……。」


「でね馬鹿みたいにね、会えるかなー、って、ずっと考えてるの。
会えるわけないって分かってるけどね、そうせずにはいられないの。
馬鹿みたいでしょ?」

「……。」

「ねえ、馬鹿みたいでしょ?私」


「……。」

「何か言ってよ!」

彼女は唐突にそう叫び、私の方へ枕を投げつけてきた。

「なんで黙ってるの!?ねえ、あなたが訊いたんでしょ!
だったら何か答えてよ!」

エリーが裸のままベランダに向ってきた。


「……。」

「ねえ、何!?何で黙ってるの!?ねえ!ねえってば!」

エリーの声は震えていた。震えた声を振り絞りながら僕の肩を揺すり、何度も叫んだ。

「何で!?何で!?」と…。

僕は分かっていた。
エリーは僕に告白していたのではなく、
エリー自身に告白していたのだと。

吐き出したかったのだと思う。
ぶちまけたかったのだと思う。

エリーの中の醜い憎悪を。
そしてその醜悪な塊を己の眼で見たかったのではないか。

自分の体内に寄生する極めてヘビーな雑言・憎しみ・辛み。
エリーはずっと耐えてきた。
毎日朝から晩まで誤魔化してきた。

「自分はまだ、用なしの女じゃない」と。

自分は捨てられた女だという厳しい現実から目を背け、行為によって自己を慰めてきた。

その鬱憤は消化できず、「なんで!?」という言葉と共にエリーの口から飛び出し、そして行き場をなくして目の前の僕にぶつかってきた。

エリーは賢いからそのことには気付いてたと思う。
だが、どうしようもない衝動は理性を沈めさせる。

僕は黙って彼女の衝動を受け止め続けた。

闇夜に悲痛な叫びがこだましていた。
















……









朝。エリーはベッドで眠っていた。
夜中散々泣き喚いたからであろう、泥のようにぐっすりと寝ている。
愛おしい顔だ。
そう思った瞬間、僕はエリーのおでこにキスをしていた。

頬が真っ赤に染まるのを感じる。
昨日さんざんセックスしたのにな…。僕はちょっぴり自分が情けなくなった。

そのあと僕は昨日着てきた服に着替え、水を飲んだあと、
彼女に一通のメモを残し、部屋を出た。




外の空気がやけに寒々しい。
ホテルの入り口付近で煙草を吸いながら、
僕はさっき殴り書きした置き書きの内容を思い出していた。





「もしも神様が偶然という名の悪戯が好きならば、僕たちはまた出会うかもしれない。

その時は神様の悪戯を祝福しよう。
そしてその運命の日までに、
エリーの中に居る悪魔が消滅している事を、僕は心から願う。」





街の雑踏が先ほどの甘い空間から現実へと僕を引き戻す。

流れるように、溶け込むように、僕は往来に紛れ込んだ。















……












あ、いっときますけど、これ全部妄想ですから!
サーセン!!!





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