レビュー、その難しさ。

昼下がり。
ヴェルベッツの1stALのレビューでもしますかね、
と勃然と思い立ちシコシコと文章を組み立てたのだけれども、どうにもこうにもうまく思っている事を表現できない。

書いては消し、書いては消しを繰り返していたらいつの間にか2時間ほど経過していて、これは駄目だな、と諦念に駆られそのまま打ち込んでいた文を全部消し、不貞寝した。

午後5時ごろ黒猫やまとの配達員が鳴らすベルで浅い眠りから覚める。
荷物を受け取った後ベランダに出てシガーをレットしながら考える。

「どうして俺はヴェルベッツのレビューを書けなかったのだろう」と。

インターネットの普及に伴い、我々は評論家を気どれるようになった。mixiでもamazonでもblogでもみんながみんなしたり顔して「このアルバムはクソだ」とか「この小説が私の人生を変えました」だとか、大袈裟な口調で駄文を書き散らす。
いつも思う。こいつらは何様だろう？と。（全員が全員にそう思うわけではないが）
誤解を恐れずに書くけれど、世の中の大半の人間は「その表現物の価値を完全に理解していない。」
たった一度しかその小説を読んだ事がないくせに偉そうにレビューを書いたり、有名な例えばベスト盤にセレクトされるような曲しか聞いていないくせにそのアーティストを評論しようと試みる。
なぜ人がした事にもかかわらず僕にそんな事が分かるのかといえば、単純にレビューを読めば分かるからだ。訝しがる人は一度自分の好きなバンドや小説家のレビューを読んでみるといい。すぐに僕の言わんとする事が理解できるはずだ。

作品を評価するにはそれなりの資格が必要だと、個人的には思う。その資格とは例えば小説を批評するとき。その小説を少なくとも3回は再読したとか、その作者について少なくとも生い立ちや経歴を知るとか、そういった基本的な事だ。
一読しただけで小説の言わんとすることが分かる人なんているのだろうか。（もちろん、yoshiとか山田リアル鬼ごっこのような小説は一読の必要すらなく、始めの3行だけ読んで★ひとつ感想なしと書き込めばそれで充分である事に疑いの余地はないのだけれど。）

だがそういったストイックな姿勢で読書や音楽鑑賞をしている人は少ないだろうし、おそらくそれが自然な事だ。

それでもどういうわけか人はレビューを書き散らす。深い愛に泣いたから「とってもディープなラブに泣きました！yoshi、サイコー！」現実的な鬼ごっこだったから「リアル鬼ごっこ、すげえリアル！最高！」キューティハニーのコウダクミだから「エロかっこいい！パンツ！」

僕には人の表現の自由を奪う権利がないので彼ら（腐ったレビューを書く輩）を自重させる術は持たないのだけれど、本音を吐露すれば彼ら全員を重機関銃のようなもので残滓残さず爆殺してやりたい、といえばテロルすぎるのであろうか…。

長くなったが、そんなことをベランダでシガーをレットしながら考えたわけである。そして気づいた。

「ヴェルベットのレビューが書けないのは、単に俺に書く資格がないだけなんだなあ」と。

ネット上を探せば、僕が書き残してきたレビューが年中無休で鎮座ましましている。
自分の感じた事を他人に分かるように素直に実直に書いたつもりだ。それでも、再読してみたらやはりカス以外の何物でもなく、これはもうアカン、自分でこんな偉そうな事言っといて、のこのこ二酸化炭素吐き散しとる場合やない、と決然たる思いで12.7mm重機関銃M2 （ジョン・ブローニングが第一次世界大戦末期に開発したM1重機関銃の改良型で、1933年に米軍が制式採用。別名キャリバー50。wikiより抜粋）を用いて自害を決行しようと試みたのだけれど、キャリバー50がどこのお店で売っているのか分からないので、渋々ではあるが生存することを選択。イエス。ベリークール。






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