知人や友人と二人で会話していて、その人がトイレに行くなり茶を沸かしに行くなりしてその場を去り、ぽつんと一人になった時。

ふと『自分に帰る感覚』これを感じたことありません?ありますよね、当然。

本日のことですが、友人の女の子(美しく、教養のある、素晴らしい女性です)と日常会話(音楽の話だったり、結婚の条件の話だったり、文学の話だったり、池袋の様子の話しだったりと、さまざまです)を楽しんでいたのですが、彼女がちょっとした用事で一時その部屋から退出しました。彼女が部屋を離れている時間は、そうですね5分ほどでした。

話し相手を失った僕は、ぶらぶらと窓の方へ足を運び、途中なぜか「ふうぅ」と溜息をついてしまったのです!これは決して『退屈』の溜息ではありません。何か『素の自分に戻った』といった風情の溜息!なんと、安心して出たような、そんな溜息なのです!

僕は驚きました。
彼女との時間は僕にとって、とても有意義で、かつ美しいものでした。しかしだからと言って、自分としても決して気取るわけでもなく、また道化を演じるでもなく、いつも通り、あるがままの自分で接していたはずであります。
なのに、なぜ、自分は結果としていつもの自分ではなく、(彼女がいなくなって溜息が出てしまうほど)違う自分を演出していたのでしょうか…。

いや、自分を演出していた、というのは少し結論を急ぎすぎたかもしれません。単に彼女の魅力にドギマギし、解放された瞬間、緊張の糸が切れただけかもしれません。

ただ、彼女との付き合いはもう2年半になります。それほど緊張する相手でもありませんし(とは言っても多少のそれは感じていましたが)、僕としても本当にいつも通りのテンションでお話をしていたはずです。

無意識。
無意識の道化なのかも、しれません。
僕は本当に心を許した相手にしか、なかなか本音や本性は表出させません。それ以外の初対面の人やそれほど親しくない人、或いは親しくとも一線を引いている相手には、曖昧な自分を演出します。この『曖昧』というのは、季節で喩えるなら春。非常に心地よく、危機感を感じさせないが、半面で何かがぼやけている。夏や冬のような、(人間らしい)迫って来る「何かがない」。曖昧とはそういった意味です。しかし勿論これは誰だってそうでしょうし、僕だけの特異なケースではないと信じています。

ただ、ある程度の自分を見せていることは疑いようのない、紛れもない事実であり、決して嘘の自分ではありません。

しかし僕の場合、その「春の顔をすべき相手」に対して、無意識的に道化の顔を演出することが、しばしばあります。

それほど親しくない人と話すことは、恐ろしい事です。
彼・彼女が何を考えているのかわかりませんし、後でどんな仕打ちを向けてくるか、さっぱり分かりません。ニコニコと敵意の無い顔を僕に向けているがしかし!腹の底は軽蔑と憎悪と倦怠に満ち溢れている!そんなことも、十二分に、考えられます!

僕は、人にそのように思われるのが酷く怖ろしく、事実、時に人と話をしていて何が重罪を起こしてしまっているような、そんな恐怖感すらも感じます。

それに対抗するのは、道化を演じる(笑い)しかないと思っています。
自分は決して敵ではなくあなたの味方だよ、という意思を伝えるには笑い、これが最善手であると、考えるからです。このことはどういうわけか今では無意識的に「春の顔をすべき相手」を前にすると、演じる事ができます。(演じる、というよりは、表出してしまっている)最近は手馴れたもので、ちょっとしたジョークならサラリと口に出せるようになり、人をクスリとさせるのも難しくなくなってきました。

その自分、つまり曖昧な自分を、僕は冒頭の彼女に向けていた!
もうすっかり心を開いて話していたはずなのに…?
なにか、違和感めいたものを覚える。この…胸騒ぎは何?

恋?

愕然としました。なにしろその娘は大学に入って一番初めに恋をした娘で(一方的な、片思いでした。通称Mちゃん)今では、そんな、恋だなんて、ずうずうしい!いまさら、その娘に恋心を抱いているだなんて、未練がましい!ふざけるのも、いい加減にしくされこの馬鹿野郎!激しい感情が雷鳴のように僕の頭を打ちました。

そうです!僕はなんでもない、と思っていた娘に対し、なんと無意識的に恋心を蘇らせてしまったのです!あの溜息は道化からの解放と恋心の再燃、これを示していました。なんということだろう、あのコに僕への気は無い、ということが分かっているのに、なんでこうヤキモキとしなければならんのだろう!酷い仕打ちだ!


しかし僕はもう悟りました。過去には生きない、と。先日の日記に記した通りでございます。過去の忌まわしい記憶を捨て、そして色鮮やかな今日を描く!
よし、決めたぞ!
実は明日も彼女と会う(といっても事務的なものです)約束があるのですが、そのとき私は彼女を食事に誘う!

もう一度言う!

明日彼女を食事に誘う!

実際に食事をする日は明日は無理だから、いつになるかは相手次第。だが、兎にも角にも彼女を食事に誘う!

結果は明日、必ず日記に書き込む!素晴らしい明日に栄光あれ!








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