地獄に堕ちた勇者ども
2008年10月28日 映画74点
俺の今まで観た映画の中で人間が極めて利己的で己の矜持と資産を守ろうと躍起になることを最も力強く描いたそれは黒澤明監督による「羅生門」であったが、この地獄に堕ちた勇者どもは人間が利己的であるばかりでなく、快楽を求める生き物であることも同時に描かれている。この映画で言う快楽とは幼児偏愛であり同性愛であり女装であり近親相姦であり、またナチス権力)への忠誠である。
俳優たちの体臭までも漂ってきそうなこの映画は、極めて人間臭い。出てくる人間それぞれが異常なほど個性的で、また個々の欲望が混ざり合う瞬間には粘液さえ出てきそうなほどの腐臭が漂う。傑出した個性は融合することなく、この映画において、弱者は腐敗してゆく運命にある。その腐敗の過程と、それを生む権力の構図が巧妙に描かれていて、俺は実に論理的かつ美しい作品だと感じた。しかしかといって誰にでもオススメできる映画ではない。考えて観ないと何が何だか分からなくなると思われるので、お子ちゃまにはおすすめできない。黙ってポニョでも観てなさい、ということだ。
俺の今まで観た映画の中で人間が極めて利己的で己の矜持と資産を守ろうと躍起になることを最も力強く描いたそれは黒澤明監督による「羅生門」であったが、この地獄に堕ちた勇者どもは人間が利己的であるばかりでなく、快楽を求める生き物であることも同時に描かれている。この映画で言う快楽とは幼児偏愛であり同性愛であり女装であり近親相姦であり、またナチス権力)への忠誠である。
俳優たちの体臭までも漂ってきそうなこの映画は、極めて人間臭い。出てくる人間それぞれが異常なほど個性的で、また個々の欲望が混ざり合う瞬間には粘液さえ出てきそうなほどの腐臭が漂う。傑出した個性は融合することなく、この映画において、弱者は腐敗してゆく運命にある。その腐敗の過程と、それを生む権力の構図が巧妙に描かれていて、俺は実に論理的かつ美しい作品だと感じた。しかしかといって誰にでもオススメできる映画ではない。考えて観ないと何が何だか分からなくなると思われるので、お子ちゃまにはおすすめできない。黙ってポニョでも観てなさい、ということだ。
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