盛り上がるカラオケ、盛り下がるカラオケ

カラオケ行ったんです。同期の連中と。６人くらいで。
でね、まあ一人イタい奴がいるんです。
体をクネクネさせながら、グレイを歌うんです。

それだけならいいんですけど、なんかものすごい感情移入の仕方なんです。
歌詞の世界にどっぷりはいってる。
まるで自分が作詞したかのようにハートがこもってるんです、歌に。

歌唱中。
悲しげな叫びをあげたのかと思えば、首をガンガン振って、喉よ裂けろと言わんばかりの絶叫・雄叫び。動物界であんな不自然で不快な声を上げる生き物はどこにもいません。

最終的に「おれは夢を追いかけるぜ、お前も幸せにな…」と言った旨のことを不自然な絶叫で歌いあげ、しめやかにマイクをテーブルに置き、拍手待ちをしておりました。

あと、言い忘れておりましたが、歌はド下手で、もう聴いてられないレベル。なにより叫ぶからウルサイ。
まあ、歌が下手でも個人的には気にしません。変に歌わなかったり、逆に歌いまくる方がまだ腹立ちます。

それはいいのですが、名曲を歌いきり、拍手待ちだった彼には乾いた拍手音が数発プレゼントされました。


その後彼は順番が来ると曲調の激しい、ロケンローな歌をロックシンガーになりきり、頭を振り切り、喉を酷使し、体全体をグラインドさせながら熱唱。

我々も多少は慣れたものでしたが、数曲目。なぜか曲調は一転。 井上陽水 の「少年時代」をセレクト。ねちっこく歌う彼。意外とイケてる。「ふーんふーん」のとこまできっちり歌いきる彼。
今までのロケンローな曲よりも、ゆっくりしたバラードの方が彼に合ってる。そう思った僕は「バラードいいね。合ってるんじゃない？」
といった旨のことを進言。
すると、考えられますか！？

「いや、盛り下がるじゃん。カラオケは盛り上がってナンボでしょ」

とか言い出すわけ！！




アホか！！！
俺はね、初めて同期にどなりそうになったわ！！！今まで温厚で、楽しくて、さわやか路線だった俺が、初めて素で、どなりそうになったわ！！


あのな、俺は君のド下手なロケンロー、うるさ過ぎるロケンロー。これにウンザリしてるんだと。さらに言えば、その時の熱唱っぷり、一人別世界ぶりに引いてるんだと。

簡潔に言うと、盛り下がってるんだと。


それだったら、君に合ってる、少なくとも、我々を盛り下げないバラードを歌う、
これがマナーではないのかと。
百歩譲って、君が大音量のロケンローを歌うのは、君が金を払ってるのだから構わん。
でも最低限、自分の歌のレベルを把握し、迷惑を掛けてる、すなわち「盛り下げてしまってる」感は出せよ！！！！

それをなんだね。逆やないか。「おれの歌で盛り上げてやってる」感を出しとるやないか。ドあほが！！逆や！！気づけ！！お前みたいなもんはもう、ま逆の刑や！！全部、逆にして行け！！

ウンコしたくなっても、シッコしか出すな！
シッコ出したくても、ウンコだけ出せ！そういうレベルの逆を積み重ねて行け！そんで最終的には、「いままでの自分は数々の逆を無意識に重ねてきた。結果、世の人々に多大なる迷惑をかけてきた。本当に申し訳ないことをしてきた。これからはボランティア活動に励もう」と思ってしまえ！！以上！！！