草食系男子→童貞男子
2010年2月14日 笑い コメント (4)街を鮮やかに染めあげる流行の発端地、その源泉である当盛男のネタ帳。
その管理人盛男が次の流行はこれだと、静かに語り始めた。
「確かに僕は東野圭吾がまだペーペーの頃から彼は絶対に売れると断言してはばからなかったし、猫ブームが来る前から猫は好きだったし、飼ってた。それにハイボールだって小雪が『お好きでしょ』、とか言う前にそんなもんビール替わりにがぶ飲みしてました。
その他ありとあらゆる流行がまだ『流行』ではなくその萌芽の段階、すなわち価値はあるがその価値が世間に十分伝わっていない時からこのブログでは『これは来ますよ』と言ってきたわけですが、そして言い続けてその点が今、線となってここまで続いてきているのですが、次の流行はこれです」
盛男は続ける。
「童貞男子です」
「なんか今草食系男子とか流行ってるじゃないですか。あれも僕がこのブログを解説した時から今の男は肉食か草食化のいずれかに分かれる、みたいなことを、まあ明言はしていませんが、それっぽいことを言い続けてきたことはみなさんも記憶に新しいかとは思います。
草食系男子、この言葉もそういう意味では僕が考えたと言っても良いのですが、ただまだ物事の本質を捉えきれていない、僕はそう思いますね。
要するに、時代の流れとともに流行がブルースがロックンロールになって、ロックンロールがハードロックになっていったのと同じような意味合いなんです。(回帰はしますがね!)」
ここへ来て盛男はウェイトレスを呼び、コカ・コーラのおかわりを注文した。喉が乾いたのだ。
「結局、草食系男子なんていうのは蔑称なんです。バカにしてるんです。男のくせに、意気地が無いわね、ロバみないなもんが!と、見下してるんです。良い悪いは別にしてね。
ただもう草食系なんて、ハッキリ言って曖昧なんです。もっとピンポイントに言えば、童貞のくせに、ということなんです」
最後の「もっとピンポイントに言えば」のくだりで盛男はいくらか病的に震えながら叫んだ。
「あのですね、結局、セックスをしたことのある人、そんな人達はね、すごいです。全然草食なんかじゃありません。だって食ってる、肉、食ってるじゃないですか!それで、もっと言えば、セックスをするために、女性に言い寄って、デートの約束取り付けて、映画行って、おいしいもの食べて、お酒飲んで、手つないで、キスして、告白して、ラブホテル言って、部屋借りて、愛撫して、コンドームつけて、挿れて、動いて、イッてるわけじゃないですか!!そんなの、そんな一大行事を一人で独力でやってのけてるわけじゃないですか、滅茶苦茶に立派じゃないですか!!!」
固いこぶしで机をガンガン殴りながら盛男は絶叫した。
「結局ね、草食系の人はそんな、そんなんは無理です。もうね、女性に言い寄る時点でダメです。『俺みたいな童貞が』と思ってしまうんです・『俺みたいな童貞が言い寄っても駄目だろう。相手にしてもらえないだろう』と思ってしまうんです。だから自分から言い寄れない。アクティブになれない。でも心の奥底では幸せな恋愛をしたい、ものすごいエッチなこともしたい、そう思ってる!だけど童貞であることが邪魔をする!!!
そうやって何もできない期間だけが積み上がっていく。残酷なものです。歳をとればとるほど『童貞であることのコンプレックス』が増していきます。まるで癌細胞が拡がっていくのと同じように、年月とともに爆発的にその羞恥・悔恨が全身を蝕んでいくのです。俺なんて誰にも相手にされない、もうダメだ、もう手遅れだ!!!その思考に支配された男が、果たして女性に言い寄ることができると思いますか?ねえ、どうですか!?」
『盛男の表情の悲愴さには目も当てられなかったよ』盛男の話を聞いていたある男は語る。
『いまは亡き父親の唯一の形見である懐中時計がトラックに引かれて粉々に破壊された時の哀しみが、ふいに俺を襲ったんだ』盛男の嘆き、哀しみは他人に本質的な哀しみを想起させたのだ。
盛男は泣いていた。
「なにが草食系だよバカヤロウ。うるせーよ。違うわ、結局童貞か否か、そこだけ、そこだけなんですよ。もうね、童貞男、きっちりこの言葉が流行りますよ。女性の間で、特に女子高とか女子大で流行りますよ。OLの間でも流行るでしょうね。給湯室とかで。『あいつ絶対童貞男子だよ、つか童貞だよ』とかいうと思います!」
盛男はすでに息継ぎすら忘れている。延々に続く爆竹のように、バカでかい声で、怒鳴りちらしている。
「草食系とか意味わかんない言葉は死滅して、童貞か否か、そこでAかZかという重い線引きがなされることになるでしょう。
あらゆるものごとがそうであるように、全てはよりエッジが効いて、そしてインパクトがあるものに代替されていきます。古代よりの拷問の歴史を紐解くまでも、またAVの歴史を丹念に舐め回す必要もないでしょう。公理です。
草食系男子などという生ぬるい言葉は淘汰し、より正確で女性がゾクゾクするくらい悦べるワード『童貞男子』が流行る。間違いないです。まあ公然とは流行らないでしょう。直截的に過ぎますから。ただ生きる。確実に意識の中で亡霊のように潜み続けることでしょう。亡霊です。自然と女性は童貞である男性のことを拒絶することになるでしょう。意識の奥底でうごめぐ、童貞は駄目すぎるという、観念。人間、特に女性はそういった噂の類には弱い生き物です。これが、これが何を意味するかわかりますか!?」
身震いをしながら、発狂したように盛男は叫んだ。視線は虚ろだ。
「わかりますか!?わかりませんか!?言います。言います。
男性がね、こう思ってるんです。『俺みたいな童貞は駄目だ。どうせ相手にしてもらえない』女性はこう思ってるんです。『童貞はださい、絶対につきあいたくない』
これが何を意味するか、聡明な君ならわかるだろう、そう、童貞が童貞でなくなることは、今後さらに難しくなることはあっても、簡単になることは絶対にない、というあまりに、あまりに救いようのない事実だよ!!」
すでに盛男は頭を抱えている。その場にうずくまり、床に向かって絶叫している。『全世界の哀しみを一身に引き受けていただいている、そんな気がしたよ』ある男は盛男をこう称した。
「もうとんでもないところまで、我々童貞は来てしまっているんだよ。わかるかい、この哀しみが…。このあまりにも残酷な事実が…。ふつうの人ならひょいひょいやってるセックス、これが出来ない、動物として、当たり前の欲求が満たせないこの絶望的な運命を、あなたは呪わずにはいられるかい?
だがまだ救いはある。童貞男、その言葉がまだ淡い雲のような、掴みどころのない意識のカスでしかない、ということだ。これがソリッドな、鋭利なナイフのような言葉に変換されていない、というところに救いがある。これが一度明確な言葉になったとしたら…。
童貞男、その言葉が産声をあげたとき、我々童貞は胸元に拳銃を突きつけられたのと同じだ。
俺らにできること、それは簡単なこと。ソープに行くこと。結局、行き着くとこはどう考えたってそこしかないと思うんだよ。」
グーグルの検索窓に「ソープ 優良店」と叩き込みながら盛男は言った。さきほどとは打って変わって、真顔だ。めっちゃめちゃ真顔だ。
「ソープ。始めてがソープ。これは取り返しが付かないほど恥ずかしいことはよくわかる。でも結局、俺らが童貞男でないと言うには、そうするしかない、そうする他ないんじゃないのかな…」
先程ネットでみつけた優良店(と呼ばれる店)に電話をかける盛男。予約をしているようだ。
「ええ、童貞で、ええ、童貞コースですそれです、指名?ああ指名無料なんですか、いいですねー、ええと、アイラちゃん、アイラちゃんで、胸大きいのがいいです。え?今日生理?生理!!!???ドアホが、いや、すいません。他の娘ですか?ありえませんね。
絶対無理です。一度アイラちゃんと言って、今日は無理なんで違う娘?できるますか?そんな次の娘に失礼なことが、あなたにはできるんですか?僕にはデキません!せっかく一生のことをこのアイラちゃんに託そう、任せよう、と思って一大決心で言ったのに、そんなホイホイ次の子を決められますか?僕はそんなに軽薄な男ではない!バカにしないでほしい!!辞めます。辞めます。もうだめです。生理なんて許されません。じゃあ」
盛男は黙って帰っていった。
その管理人盛男が次の流行はこれだと、静かに語り始めた。
「確かに僕は東野圭吾がまだペーペーの頃から彼は絶対に売れると断言してはばからなかったし、猫ブームが来る前から猫は好きだったし、飼ってた。それにハイボールだって小雪が『お好きでしょ』、とか言う前にそんなもんビール替わりにがぶ飲みしてました。
その他ありとあらゆる流行がまだ『流行』ではなくその萌芽の段階、すなわち価値はあるがその価値が世間に十分伝わっていない時からこのブログでは『これは来ますよ』と言ってきたわけですが、そして言い続けてその点が今、線となってここまで続いてきているのですが、次の流行はこれです」
盛男は続ける。
「童貞男子です」
「なんか今草食系男子とか流行ってるじゃないですか。あれも僕がこのブログを解説した時から今の男は肉食か草食化のいずれかに分かれる、みたいなことを、まあ明言はしていませんが、それっぽいことを言い続けてきたことはみなさんも記憶に新しいかとは思います。
草食系男子、この言葉もそういう意味では僕が考えたと言っても良いのですが、ただまだ物事の本質を捉えきれていない、僕はそう思いますね。
要するに、時代の流れとともに流行がブルースがロックンロールになって、ロックンロールがハードロックになっていったのと同じような意味合いなんです。(回帰はしますがね!)」
ここへ来て盛男はウェイトレスを呼び、コカ・コーラのおかわりを注文した。喉が乾いたのだ。
「結局、草食系男子なんていうのは蔑称なんです。バカにしてるんです。男のくせに、意気地が無いわね、ロバみないなもんが!と、見下してるんです。良い悪いは別にしてね。
ただもう草食系なんて、ハッキリ言って曖昧なんです。もっとピンポイントに言えば、童貞のくせに、ということなんです」
最後の「もっとピンポイントに言えば」のくだりで盛男はいくらか病的に震えながら叫んだ。
「あのですね、結局、セックスをしたことのある人、そんな人達はね、すごいです。全然草食なんかじゃありません。だって食ってる、肉、食ってるじゃないですか!それで、もっと言えば、セックスをするために、女性に言い寄って、デートの約束取り付けて、映画行って、おいしいもの食べて、お酒飲んで、手つないで、キスして、告白して、ラブホテル言って、部屋借りて、愛撫して、コンドームつけて、挿れて、動いて、イッてるわけじゃないですか!!そんなの、そんな一大行事を一人で独力でやってのけてるわけじゃないですか、滅茶苦茶に立派じゃないですか!!!」
固いこぶしで机をガンガン殴りながら盛男は絶叫した。
「結局ね、草食系の人はそんな、そんなんは無理です。もうね、女性に言い寄る時点でダメです。『俺みたいな童貞が』と思ってしまうんです・『俺みたいな童貞が言い寄っても駄目だろう。相手にしてもらえないだろう』と思ってしまうんです。だから自分から言い寄れない。アクティブになれない。でも心の奥底では幸せな恋愛をしたい、ものすごいエッチなこともしたい、そう思ってる!だけど童貞であることが邪魔をする!!!
そうやって何もできない期間だけが積み上がっていく。残酷なものです。歳をとればとるほど『童貞であることのコンプレックス』が増していきます。まるで癌細胞が拡がっていくのと同じように、年月とともに爆発的にその羞恥・悔恨が全身を蝕んでいくのです。俺なんて誰にも相手にされない、もうダメだ、もう手遅れだ!!!その思考に支配された男が、果たして女性に言い寄ることができると思いますか?ねえ、どうですか!?」
『盛男の表情の悲愴さには目も当てられなかったよ』盛男の話を聞いていたある男は語る。
『いまは亡き父親の唯一の形見である懐中時計がトラックに引かれて粉々に破壊された時の哀しみが、ふいに俺を襲ったんだ』盛男の嘆き、哀しみは他人に本質的な哀しみを想起させたのだ。
盛男は泣いていた。
「なにが草食系だよバカヤロウ。うるせーよ。違うわ、結局童貞か否か、そこだけ、そこだけなんですよ。もうね、童貞男、きっちりこの言葉が流行りますよ。女性の間で、特に女子高とか女子大で流行りますよ。OLの間でも流行るでしょうね。給湯室とかで。『あいつ絶対童貞男子だよ、つか童貞だよ』とかいうと思います!」
盛男はすでに息継ぎすら忘れている。延々に続く爆竹のように、バカでかい声で、怒鳴りちらしている。
「草食系とか意味わかんない言葉は死滅して、童貞か否か、そこでAかZかという重い線引きがなされることになるでしょう。
あらゆるものごとがそうであるように、全てはよりエッジが効いて、そしてインパクトがあるものに代替されていきます。古代よりの拷問の歴史を紐解くまでも、またAVの歴史を丹念に舐め回す必要もないでしょう。公理です。
草食系男子などという生ぬるい言葉は淘汰し、より正確で女性がゾクゾクするくらい悦べるワード『童貞男子』が流行る。間違いないです。まあ公然とは流行らないでしょう。直截的に過ぎますから。ただ生きる。確実に意識の中で亡霊のように潜み続けることでしょう。亡霊です。自然と女性は童貞である男性のことを拒絶することになるでしょう。意識の奥底でうごめぐ、童貞は駄目すぎるという、観念。人間、特に女性はそういった噂の類には弱い生き物です。これが、これが何を意味するかわかりますか!?」
身震いをしながら、発狂したように盛男は叫んだ。視線は虚ろだ。
「わかりますか!?わかりませんか!?言います。言います。
男性がね、こう思ってるんです。『俺みたいな童貞は駄目だ。どうせ相手にしてもらえない』女性はこう思ってるんです。『童貞はださい、絶対につきあいたくない』
これが何を意味するか、聡明な君ならわかるだろう、そう、童貞が童貞でなくなることは、今後さらに難しくなることはあっても、簡単になることは絶対にない、というあまりに、あまりに救いようのない事実だよ!!」
すでに盛男は頭を抱えている。その場にうずくまり、床に向かって絶叫している。『全世界の哀しみを一身に引き受けていただいている、そんな気がしたよ』ある男は盛男をこう称した。
「もうとんでもないところまで、我々童貞は来てしまっているんだよ。わかるかい、この哀しみが…。このあまりにも残酷な事実が…。ふつうの人ならひょいひょいやってるセックス、これが出来ない、動物として、当たり前の欲求が満たせないこの絶望的な運命を、あなたは呪わずにはいられるかい?
だがまだ救いはある。童貞男、その言葉がまだ淡い雲のような、掴みどころのない意識のカスでしかない、ということだ。これがソリッドな、鋭利なナイフのような言葉に変換されていない、というところに救いがある。これが一度明確な言葉になったとしたら…。
童貞男、その言葉が産声をあげたとき、我々童貞は胸元に拳銃を突きつけられたのと同じだ。
俺らにできること、それは簡単なこと。ソープに行くこと。結局、行き着くとこはどう考えたってそこしかないと思うんだよ。」
グーグルの検索窓に「ソープ 優良店」と叩き込みながら盛男は言った。さきほどとは打って変わって、真顔だ。めっちゃめちゃ真顔だ。
「ソープ。始めてがソープ。これは取り返しが付かないほど恥ずかしいことはよくわかる。でも結局、俺らが童貞男でないと言うには、そうするしかない、そうする他ないんじゃないのかな…」
先程ネットでみつけた優良店(と呼ばれる店)に電話をかける盛男。予約をしているようだ。
「ええ、童貞で、ええ、童貞コースですそれです、指名?ああ指名無料なんですか、いいですねー、ええと、アイラちゃん、アイラちゃんで、胸大きいのがいいです。え?今日生理?生理!!!???ドアホが、いや、すいません。他の娘ですか?ありえませんね。
絶対無理です。一度アイラちゃんと言って、今日は無理なんで違う娘?できるますか?そんな次の娘に失礼なことが、あなたにはできるんですか?僕にはデキません!せっかく一生のことをこのアイラちゃんに託そう、任せよう、と思って一大決心で言ったのに、そんなホイホイ次の子を決められますか?僕はそんなに軽薄な男ではない!バカにしないでほしい!!辞めます。辞めます。もうだめです。生理なんて許されません。じゃあ」
盛男は黙って帰っていった。
コメント
そういう風にみえないなぁ
熱い語りで一気に読みきってしまいました!
わかりたくもないというか、、その理由はどうせ「身も蓋もない、どうしようもない事実」に決まってるのでわかりたくないのですが、いずれにせよ、のんさんに読んでいただけて、僕はそれだけで満足です。
プロフィールのところにアドレスあるんで、メール送ってください。すいません、マジな空気になっちゃって。