あんまりな気分だったから、有給休暇をとった。申請したのは先週の金曜日。特別に行く場所や、やることを決めているわけでもなかった。とにかく、あんまりな気分だったのだ。

朝10時半頃、不愉快な夢から逃れるように、目覚めた。会社から支給された携帯電話には3件の不在着信があった。それを無視して、顔を洗って、髭を剃って、髪を洗う。
漫然と部屋の片付けと掃除をする。平日の朝の清掃は悪くない。

昼からは風俗に行った。もちろん会社支給の携帯電話は家に放置したまま。
平日の風俗店は空いている。空いていると言うことは嬢も余裕があると言うことだ。余裕が無いと、僕もそうだけどいい仕事は出来ない。
椿(つばき)という嬢だった。顔はお世辞にも美人とは言い難かったけど、愛嬌のあるかわいらしい顔だった。僕のどうでも良いような冗談にもちゃんと笑ってくれたし、目を見て会話ができる子だった。いい子だった。フェラの時歯があたってちょっと痛かった事以外は、概ね満足だった。

風俗店から出て、街をぷらぷらした。風俗店を出たあとはいつもそうなんだけど、気怠さが襲われる。肉体的な気怠さはもちろんだけど、精神的なそれもある。風俗店に行って良心の呵責に悩まされるなんてことは全くないし、病気の心配をしているわけでもない。

風俗店はいわばこの世で最も楽しい場所の一つで、その場所には決して永遠が存在しないことが全身を通じてわかってしまうことが哀しいのかもしれない。僕は我侭だから、一生風俗店で遊ぶような生活をしたいと思ってる。そういう生活をしている人もこの広い世の中絶対にいるはずだし、それなら僕だって淫蕩にふけって、桃色の世界の住人になりたい。

家に帰ると更に5件の不在着信があった。ある留守番メッセージをきくと「至急電話ください」とのこと。無視して、ストーンローゼスを聴きながら、コーラショック(コーラとウォッカを混ぜたリキュール)をぐびぐび飲んで、今に至る。相変わらずあんまりな気分だ。

憂鬱と退屈。村上龍じゃないけど。

コメント